photo by kind courtesy of @atuktekt (*click the photo for details)

2013/04/25

《和訳》ふくしま集団疎開裁判:仙台高裁が子どもの避難を求める訴えを棄却(AP) via @yurikageyama




ふくしま集団疎開裁判:

仙台高裁が子どもの避難を求める訴えを棄却
Japan court rejects demand to evacuate children


影山優理 2013.04.24 17:42

FILE - In this April 16, 2011 file photo, Wakana Nemoto, 3, standing next to her mother Naoko, receives a radiation exposure screening outside an evacuation center in Fukushima, northeastern Japan. A Japanese court has rejected a demand that a city affected by the fallout of the country's 2011 nuclear disaster evacuate its children. The unusual lawsuit was filed on behalf of the children by their parents and anti-nuclear activists in June 2011. The Sendai High Court handed down its ruling Wednesday, April 24, 2013. Photo: Hiro Komae
ファイル:2011年4月16日に撮影されたこの写真では、福島の避難所で母親(ネモト・ナオコさん)の隣に立って放射線被曝検査を受ける3歳の少女(ネモト・ワカナさん)の姿が映し出されている。日本で2011年に起きた原子力発電所事故の影響を受けた都市において、その都市の地方裁判所が子どもの疎開を求める訴えを棄却した。この異例な訴訟は2011年6月、子どもたちに代わって両親や反原発活動家らによって起こされた。仙台高裁は2013年4月24日、本件に関する判決を言い渡した。(撮影:コマエ・ヒロ)


[東京 24日 AP] 日本で2011年に起きた原子力発電所事故の影響を受けた都市において、その都市の地方裁判所が子どもの疎開を求める訴えを棄却した。この異例な訴訟は2011年6月、子どもたちに代わって両親や反原発活動家らによって起こされた。

いわゆる低線量被曝の健康に対する影響、とりわけ大人よりも大きな影響を受ける子どもの健康への影響に触れるこの裁判は国際的な注目を集めていた。

訴状で原告側は、郡山市には小・中学校に通う子どもたち(日本の法律では小・中までが義務教育の範囲)を疎開させる法的責任があると主張した。

判決の中で裁判所は、同市の放射線の積算線量が、震災前に安全と認められる基準を超えていることを認めた。その上で、要求通りに学校を疎開させる責任は政府にはないとし、実質的に、自主的避難を勧告する形となった。
 
弁護団の一人である柳原敏夫弁護士は、「原発事故に100%責任のない純粋の被害者である子ども」に対する判決として不公平だと反論した。

元の訴えは2011年12月、地方裁判所で棄却されていたが原告側は控訴した。今回の判決についても、原告側は控訴できる。

人口33万人の郡山市は、2年以上前、巨大な津波によって冷却システムが破損した結果、複数のメルトダウン(炉心溶融)事故を引き起こした福島第一原子力発電所から60キロほど離れた場所にある。この事故は、チェルノブイリの原発事故以来過去最悪の原発災害とされている。

チェルノブイリ以降、多くの子どもが甲状腺ガンを発症した。しかし、これらの症例は事故後数年経って初めて表面化した。

ガンの発症にはさまざまな要因が想定され、また人によってその発症の仕方がさまざまであることから、福島の子どもたちが同じ危険に晒されているかどうかは定かではない。放射能被ばくは、空気、食料、水のいずれからも起こり得るため、その因果関係は複雑である。

一部の専門家は、福島第一の立ち入り禁止区域の外でガンを発症する確率は、全国のどの都市においてガンを発症する確率と代わらないと主張する。しかし福島の住人は不安から自主的に県外に避難している。

政府の福島原発事故への対応は、人々に政府に対する強い不信感を植え付けた。何十万もの人々が日々反原発デモを行い、原子力の段階的廃止を叫んでいる。

一方、日本政府は、安全性を確認したのち全国の原子炉を再稼働する意向を表明している。



『ふくしま集団疎開裁判』ブログ 英語版 日本語版
日本語詳報記事: ふくしま集団疎開裁判~仙台高裁が却下
Original article: Japan court rejects demand to evacuate children
 (reprinted by permission from the original author, Yuri Kageyama)

2013/04/15

《和訳》ふくしま集団疎開裁判:子どもたちの避難の権利を求め両親らが代理訴訟(AP) via @yurikageyama

ふくしま集団疎開裁判:

子どもたちの避難の権利を求め両親らが代理訴訟
Lawsuit seeks evacuation of Fukushima children


影山優理 2013.04.15 14:17

[東京 15日 AP] 要求は放射能に怯えない暮らしをする権利を認めること。原告は14人の子ども。2011年6月11日、福島市の地方裁判所でこの異例の訴訟が起こされた。原告は子どもたちで、その両親や反原発活動家らが代理で提訴した。

近日中にこの控訴審判決が下される。

福島市は、2年以上前、巨大な地震と津波によって損傷し放射能を撒き散らした原子力発電所から60キロほど離れた場所にある。

訴状は、人口33万人の郡山市に対し、年間1ミリシーベルト以下の自然放射線の被ばくレベルに収まる土地に子どもたちを避難させることを求めている。

権威に逆らうを善しとしない文化のなかで、この訴訟は、低線量被ばくによる健康への影響について見解の一致しない専門家と一般の人びとの意識の断絶を象徴する出来事となった。一部の専門家は避難の必要はないと主張するが、両親らは、大人よりも放射線の影響を強く受ける子どもたちへの長期的な影響を心配する。汚染された食料や水を摂取することも彼らの懸念材料となっている。

福島原子力発電所の事故以後、政府は年間の積算線量が20ミリシーベルトを超えるか否かを住民の避難基準の分かれ目とした。郡山市における平均線量はこの基準を遙かに下回るが、市内の一部の区域には、この基準を超える線量が計測される“ホットスポット”と呼ばれる場所が局所的に存在する。

「これは健康に重大な影響がなく人々が暮らせるレベルです。学者たちが安全なレベルと認めました。」

内閣官房のカワモリ・ケイタ事務官はこう話す。

福島における衛生安全の責任者である著名な医師は年間被ばく線量100ミリシーベルト以上、即ち自然放射線の100倍以上高くないかぎり、重大な影響はないとし、冷静な対応を呼び掛けている。

2011年12月、福島地方裁判所は放射線量が100ミリシーベルトの基準を超えていないとして原告の要求を退けた。健康と放射能に関する学術研究機関である国際放射線防護委員会(ICRP)は、被ばく線量減少化により被ばくのリスクは低下するが、リスクが全くなくなるという基準はないとする。

控訴から1年が経った今も、宮城県の仙台高等裁判所に申請されたままだ。

福島第一原子力発電所の事故よりも遙かに多くの放射線を放出した1986年のチェルノブイリ原発事故以降、旧ソビエト連邦政府は、福島第一の場合の20キロ圏内の立入禁止区域よりも広範囲な、発電所から30キロ圏内に住む女子どもの避難を優先させた。

当初訴訟に参加していた子どもの人数は、家族ごと任意で県外に逃れたり、子どもが成長するにしたがって、控訴の段階で10人に減り、現在は1人となってしまった。日本では法律上、中学進学までが市の義務教育の範囲であって、高校教育は義務ではない。

しかしこの訴訟は、福島の子どもたちにとって貴重な前例となっている。

弁護団の一人である柳原敏夫弁護士は、政府が子どもたちを保護することよりも人口が大きく変動することを恐れていると批判する。

「なぜ経済大国である日本で子どもが避難できないのか、理解できません。二次大戦中の軍政下でだって行われていたことなんです。」

と、1940年代に空襲を避けて子どもたちの集団疎開が行われたことに触れた。

「これでは児童虐待です。」

チェルノブイリ以降、多くの子どもが甲状腺ガンを発症した。医療の専門家の間では、白血病や心臓障害その他の症例も放射線被ばくによるものではないかと見られている。

福島では、子どもにおける甲状腺ガンの発症例が少なくとも3件は確認されている、ただし、原発事故との関連性は証明されていない。また国内のその他の地域でこれを比較できる症例は見つかっていない。

原告団に名を連ねる子どもやその家族はみな匿名で、排斥やいじめに遭わないようその詳細は公表されていない。

「なぜ日本が、私たちの福島が、チェルノブイリと同じ過ちを再び起こそうとしているのでしょうか?」(※1)

法廷に提出した文書である母親はこう訴えた。

「子どもを守るのは、大人の責任ではないのでしょうか?」(※2)

大手マスコミはほとんど訴訟に関心を示さないが、定期的に大規模な抗議活動を行っている反原発活動家らの支持を集めている。

これらの中には、ミュージシャンの坂本龍一氏や、漫画家のちばてつや氏、そしてアメリカの言語学者で政治活動家でもあるノーム・チョムスキー氏などの著名人も含まれる。

この中で、チョムスキー氏は次のような応援のメッセージを贈っている。

「社会が道徳的に健全であるかどうかをはかる基準として、社会の最も弱い立場の人たちのことを社会がどう取り扱うかという基準に勝るものはなく、許し難い行為の犠牲者となっている子どもたち以上に傷つきやすい存在、大切な存在はありません。」(※3)

訴訟を起こした14人の子どものうち、家族と自主避難した12歳になる女の子は、不安を手書きの声明に綴った。

気をつけていても<がん>になるかもしれない。生まれてくる赤ちゃんに影響があるかもしれない。

※1,2,元の日本語の取材メモ待ちのため暫定訳を適用
※3 『ふくしま集団疎開裁判』ブログより引用



『ふくしま集団疎開裁判』ブログ 英語版 日本語版

Original article: Lawsuit seeks evacuation of Fukushima children
 (reprinted by permission from the original author, Yuri Kageyama)
Translated by: OfficeBALÉS